イヤホンのエージングとは?効果・方法・使う音源をご紹介!

イヤホンで聴いている音楽が歪んで聞こえる、細かい音にまでこだわって音楽を聴きたいそんな悩みを解決するためにはイヤホンのエージングについての知識は必須と言えるでしょう。
この記事ではイヤホンのエージングの効果・やり方・使う音源などについて解説していきます。
最終更新日2020.12.20
イヤホンのエージングとは?
まず初めにイヤホンのエージングとはどのようなものであるか説明をしていきます。
まず、イヤホンには振動板(音が鳴る部分)という素材が使われています。エージングとはその振動板に一定の音量を長時間のあいだ流し、振動板を動かし続けることで「馴染ませていく・慣らしていく」作業のこと。いわばイヤホンが性能通りに動く下準備というところでしょうか。
音声には大雑把に分けると高音や中域に低音など様々な種類がありますが、新品の状態で出荷されたイヤホンはそれら個別の音声を1Hz単位でチェックしているわけではありません。
もちろんカタログに記載されている性能どおりの働きをしてくれますが、実際に振動板から音を出してバランスを調整することによって、高音域のエッジが抑えられるなど、本来そのイヤホンによって得られるはずの音が安定して出力されるようになるのです。
可聴域
人間には本来聴き取れないはずのない超高音域まで感じとれる聴力がそなわっています。つまり、音楽鑑賞をしている時には聴き取れる音以外の音まで感じとっているのです。
音楽を聴く際にはCDを購入するのではなくダウンロードして聴く方も多いはずです。数年前まではCDでした。そして、数十年前ならばレコードを用いての音楽鑑賞が一般的でした。未だにレコードの人気はマニアの間で衰えてはいません。
それはなぜか?? レコードは人間の可聴域以外の音まで発しているからです。つまりレコードを聴いているあいだは、耳だけでなく身体全体で音を聴き取り、感じ取っているから心地がよく、病みつきになるのです。
明確に聞き取れる音の連なりだけが音楽ではありません。音楽を再生したときに得られる心地よさを、イヤホンを用いて最大限に感じとるには細かいバランス調整、すなわちエージングが必要なのです。
振動板
エージングの必要がある振動板ですが、レコードを視聴する際に用いるスピーカーと違って、イヤホンの振動板は小さいものです。
最も効果が発揮されるスピーカーのエージング期間は30~100時間ほど必要ですが、イヤホンは振動板が小さいのでそれほど時間をかける必要はありません。
それに加えて、エージング専用のCDもありはするのですが、エージングに必要な全周波数帯を再生してくれるピンクノイズやホワイトノイズがYouTubeなどにアップされていますので、イヤホンの場合はエージングが比較的手軽に行えるのです。
手軽に行えて振動板も小さいぶん、その効果にも懐疑的な声もありはしますが、非常に細かい部分にこだわる方が行う作業ですので、音質にそれほどこだわらない方に効果が感じられないのは当然だと思います。
要するに、可聴域の外にある音まで感じとりたい方はぜひエージングをしてみましょう!
イヤホンのエージングのメリット
それではイヤホンのエージングによる具体的な効果を説明していきたいと思います。
一般的にエージングによって得られる効果は
1.カタログに記載されているとおりの音質と性能が発揮される
2.高音域の尖りが減少する・マイルドになる
3.低音部と中音部のバランスが良くなる
これら3つの効果があると言われています。
1.に関しては上記で説明した通り、新品のイヤホンは出荷時には1Hz単位で音を調整していないので、振動板に慣らしがかかっておらず、実際に音を出してみると音質が少し硬く感じられることが多くあります。
ですので、エージングをかければ人間の耳にとって心地よい音質になり、カタログに記載されているスペックの通りに音を出すことができるようになるのです。
そして、硬い音質によって生じる高音域の尖り、音割れがなくなり、同じ曲を再生しても音が柔らかくまとまったような印象が感じられます。
他にも、振動板をエージングによって慣らしをかけることで、例えば低音域の強いクラブミュージックなどをイヤホンで聴く場合においても、主張が強くなりがちな重低音がほどよく強化されるだけでなく、中音域とのバランスもとれ、中・低の音色にもメリハリが出てきます。
エージングの効果というのは、イヤホンでの音楽鑑賞がスピーカーで聴く時の状態に少しだけ近づくようになるのです。
イヤホンのエージングの方法
イヤホンのエージングの仕方としては、エージング用の音源を用意し、必要な時間を計算したあと、音量を決めて流し続けていくというものです。基本的にやることはこれだけで済みます。
ですので、例えば好きな音楽のジャンルがあれば、その音楽を一定音量で数時間流し続ける、というやり方も有効です。
その理由としては、繰り返しになりますが、出荷時のイヤホンはカタログに記載されている再生周波数帯域と最大音圧を出力できるよう設計されていても、全ての周波数帯をバランスよく聴けるようにテストしているわけではありません。
ですので、イヤホンのエージングは方法よりも、どの音源を使うか、時間や音量の測定、調整が重要になのです。
そして、エージングの方法は人によって様々な意見がありますので、方法も1つには定まりません。
その具体的な方法は主に4つ
1.1~3時間ほど適当な音量で音楽を流し、これを日にちを分けて繰り返す
2.エージング専用CDを流す
3.ホワイトノイズを流す
4.ピンクノイズを流す
初めてエージングを試してみるならば、普段聴いている音量と同じか少し大きめの音量で、音圧が高くなりすぎないように注意しながら流し続けてみるといいでしょう。この方法で効果が感じられたなら、徐々に自分なりのやり方を探っていくのもアリだと思います。
ホワイトノイズとピンクノイズとは??
- ホワイトノイズは、全ての周波数が同じ強度となるノイズです。具体例としてはラジオのチャンネルを合わせる際に生じる『サーッ』『シャーッ』というような音です。
- ピンクノイズとは、強度が周波数に反比例するノイズのことです。人間の耳の特性を基にして考案されたもので、聴いた感じはホワイトノイズよりも低音域が強く、具体的な例としては、テレビの砂嵐『ザァーッ』という音です。
イヤホンのエージングする時間と音量
さきほどの項目にて軽く説明したエージングの時間と音量についてもう少し詳しく説明しておきます。音量やエージングをする時間もまた人それぞれ違います。1日2~3時間を1カ月繰り返すべきだという意見もあれば、一定の音圧で長時間流さないと意味がないという意見もあります。
ですが、ひとまずイヤホンのエージングはスピーカーと違い振動板も小さいので、1カ月以上もかける必要はないでしょう。それでも、1週間から2週間ほどの時間はかける必要はあるという意見が大多数を占めています。
全周波数帯に対してエージングが可能であるピンクノイズを使用すれば、合計10時間~30時間ほどのエージングで十分完了したといっていいでしょう。
要は、イヤホンに内蔵された振動板がスムーズに運動し、1Hz単位の全周波数に対して精確に反応できるようになりさえすればいいので、振動板の口径が小さなイヤホンは、長時間のエージングを行わずとも効果が表れやすいのです。ですので、振動板を全周波数に対して正確に振動させることができるかどうかが重要になってきます。
エージングに必要な時間はインピーダンスの数値によって関係します。インピーダンスは、イヤホンのスペック一覧に載っていますので確認してみましょう。インピーダンスが20Ω(オーム)から30Ωほどでしたら、ピンクノイズをおすすめします。おそらく10時間程度のエージングでも効果が感じられると思います。
ですが80Ωから130Ωほどの高いインピーダンスのイヤホンの場合なら、エージングを長くしなければなりません。その理由は、インピーダンスが高いイヤホンは全体の音量が低くなるからです。音量が低い=振動板の動きは少ない。つまり、長時間のエージングが必要になります。
インピーダンスとは??
大雑把に言いますと、電流の流れを左右する抵抗値のことです。インピーダンスを示す単位は「Ω」であり「オーム」と読みます。このインピーダンスとは、高ければいい、低ければいいというものではなく、好みの問題になります。
インピーダンスはフィルターの網目をイメージしてみるとわかりやすいと思います。要は雑音をどれだけ除去できるか、という数値のことなのです。
インピーダンスが高い製品は雑音が少ないぶん、全体の音量が低くなり、逆にインピーダンスが低い製品は音量が大きくなりますが、雑音もそれだけ流れてきます。フィルターの網が細かすぎると電流の勢いも弱まる=音量が小さくなる=しかしそのぶん綺麗な音質が流れる、ということです。
インピーダンスの効果をわかりやすく感じるには、ヘッドフォンとイヤホンを付け替えてみるとよいでしょう。基本的にイヤホンはヘッドフォンに比べてインピーダンスが低いので、その違いがわかる方には、わかりやすく感じとれると思います。
最大音量はNG
振動板を振動させて慣らすのだから、小さな音量では意味がないと思われる方も多いと思います。間違いではありません。ですが、気をつけてほしいのは大音量にすれば効果的というわけでもないことです。そもそも、最大音量で長時間音楽を流すという行為自体が機器に悪影響を及ぼします。
普段どおりの音量よりも、少し大き目くらいがちょうどいいです。大音量によるエージングは、イヤホン内のコイルに負荷と熱を生じさせ劣化を早める原因になるので注意してください。
ですが、エージングの方法は人それぞれとお伝えしたように、なかには最大音量でなければダメだという意見も少数ですがあることにはあります。しかしどちらにしろ、初心者の方にはおすすめはできません。
イヤホンのエージングで使える音源
エージングに使用する音源を紹介します。
音源には、普段聴いている音楽・エージング専用CD・ピンクノイズ・ホワイトノイズと、様々な種類があります。好きな音楽ジャンルがあれば、イヤホンを買い替えた際、その音楽でエージングすればよいと説明しましたが、エージング専用CDやピンクノイズ・ホワイトノイズを使用するのもおすすめです。
普段聴いている音楽では発生しない周波数が出ることで振動板そのものの動きが良くなり、全体のバランスが良くなるからです。昔はエージングする際にはCDなど音源を購入するしかありませんでしたが、現在では主YouTubeなどの動画サイトでホワイトノイズやピンクノイズノイズが載せられていますので、利用の際には試してみてはいかがでしょうか。
いくつか紹介しておきます。
ピンクノイズ
こちらがピンクノイズです。
人間の耳の特徴を基に考案されたものであり、聴いた感覚としてはホワイトノイズよりも低音域が強く、「ザーッ……」と聴こえますね。
ホワイトノイズ
こちらがホワイトノイズです。ホワイトノイズは「雨」ピンクノイズは「滝」のような違いがありますね。
長時間エージング向け
長時間のエージングに適した長い動画が多くアップされています。
快眠用音源
こちらの動画のように、音の特性さえ適合していれば、快眠用の音源を流しても問題はありません。
エージングツール
パーフェクト・エージング(Perfect Aging) 【最高峰のエージング・ツール】 ヘッドホン・スピーカー対応 Vol.1.00
参考価格: 21,780円
ここで紹介した音源でなくとも、普通に好きなジャンルの音楽を流してエージングをしても問題ありません。自分に合ったやり方に応じて音源や曲を変えましょう。
イヤホンのエージングで使えるアプリ
アプリの利点は、再生時間・ビットレート・ビット深度・連続再生などの細かい設定が可能な点です。エージング専用アプリをセットしてあとは放置するだけ。電池を充電するかのようにエージングも完了します。
イヤホン用のエージングアプリでは目的に合わせて細かい設定もできるので、再生音量やバランス調整に、ピンクノイズ・ホワイトノイズ・エージング専用音声など、音源の設定まで調整できます。目的に合わせて音源を用意する必要がなく、アプリなら一括してエージングが可能です。エージング専用のアプリもいくつか紹介していきます。
オーディオエージング
音源はピンクノイズが用いられており、時間指定が可能なアプリです。
ここで注意点なのですが、iPhoneは7以降、イヤホンジャックを廃止しているので、その場合は、イヤホンジャックアダプタを使用しましょう。
Burn-In Audio
音源をホワイトノイズ・ピンクノイズのどちらでも選択ができます。
ビット深度やサンプリンググレートは設定できませんが、エージングをする時間の指定は可能です。
まとめ
イヤホンやヘッドフォンのエージングはその人の感覚に大きく左右されるものです。当然、その効果には賛否両論あります。ですが、「変化がわかりづらい」というのが両者同じ意見です。それでも、試してみてはいかがでしょうか。もしかすると、「おっ!」と感じることがあるかもしれませんよ。